記事 024:草の香りと、秋の気配が届く食卓

記事要約

曇りの日を待って庭の草取りに励んだ朝のことを綴ります。

黙々と作業を進める妻に比べて、こちらの成果はかなり不格好なものとなりました。

昼食には、ちくわの磯辺揚げと露地栽培のキュウリを食卓に並べました。

猛暑の夏が終わりに近づいた季節感を、静かに感じた一日です。

山口県萩市で出会った萩焼の四方皿への愛着も、あわせて綴っています。

食後のお茶とともに漂う揚げ物の香ばしさとキュウリの青い香りが、窓の外から聞こえ始める虫の音と重なりながら、秋の到来をそっと告げていました。


カテゴリー

料理、夏、秋


  • 日本の食文化の中で、暮らしの中で触れてきた一場面を綴ります。
    読者の皆様には、熾火を囲むような穏やかな気持ちでこの記事を読んでいただければと思います。

1. きこえる

窓の外に向かって「暑い、暑い」とこぼしてみても、さすがに涼しくはなりません。

庭に目をやれば、雑草や芝生が飛石(とびいし)を覆い隠す勢いで、その存在を主張していました。

とはいえ、雑草や芝生があまり成長しすぎると、庭木や虫たちにとっても迷惑な話です。

このままにしておくと今後の庭作業がもっと大変になるので、天気予報に耳をすませながら思案を続けていました。

  • 狛犬風の陶器の置物(庭の番人)


庭の番人 狛犬風の陶器の置物


2. 横へ横へと

ありがたいことに、やっと曇りの日が来ました。

涼しい早朝から、庭の草取りを始めます。

草の香りを嗅ぎながらの作業は好きなものの、辺り一面草だらけとなると、さすがに気がめいるものです。

それでも風のおかげで蚊が少なく、おかげで作業に集中できました。

軒先では風鈴が監督するように、軽やかな音色で背中を押してくれます。

腰を落としたまま横へ横へと移動し、雑草を根から丁寧に抜いていく。

深く入り込んだ根を最後までスッと抜けた時には、ちょっとした快感を覚えました。

「さあ次は」「もう一本」と独り言をこぼしながら、手を動かします。

「あの角まで」「次の飛石まで」――そう自分に言い聞かせながら、横移動を続けました。


3. 陣取り合戦

反対側から草取りを進める妻は、涼しい顔をして黙々と作業を続けています。

陣取り合戦というわけではありませんが、二人の成果は誰の目にも一目瞭然でした。

かなり遅れを取っているので、いつも以上に集中しようとするものの、そのうち風が止んで蚊が飛び始め、すっかり飽きてしまいました。

おまけに、お腹まで空いてきます。

仕上がりを妻の仕事ぶりと比べると、こちらは「斑に咲いた桜」といった具合です。

いつものことながら、下ろしたての手袋にまで穴が開き、指先は泥だらけ。

予定の範囲をやっと終えた頃には、思いのほか疲れてしまっていました。

  • あまりの暑さに、日陰で休憩する蜘蛛


日陰で休憩する蜘蛛

  • 斑に咲いた桜:まだらに雑草が残った、むらのある仕上がり

4. 磯の香り

やっと、待ちに待った昼食の時間です。

妻も一緒に作業をしていたので、昼食は簡単に済ませることにしました。

手際よく、妻が食卓に「ちくわの磯辺揚げ」と採れたての「キュウリ」を並べてくれます。

温め直した磯辺揚げから、青のりの磯の香りがふわっと鼻先に漂いました。

猛暑の夏がやっと終わり、露地栽培のキュウリもそろそろ食べ納めの時期が近づいてきたようです。

  • ちくわの磯辺揚げ:
    筒状の魚のすり身製品「ちくわ」に、青のり(海藻)入りの衣をつけて揚げたもの。
    「磯辺(いそべ)」は海辺を意味し、青のりの磯の香りが特徴です。

5. 波と土

  • ちくわの磯辺揚げ
  • キュウリに八丁味噌


白い四方皿とキュウリ。ちくわの磯辺揚げを盛った丸皿、漆器のフリーカップ、素朴な食材の食卓風景

野菜の色が映える白い四方皿は、山口県萩市で出会った萩焼の器です。

四角い形をしているので、四方皿(よほうざら)と呼ばれます。

写真ではキュウリの下に隠れていますが、皿には作者の力強い筆致で文字が書き込まれています。

器の造形と、この潔い筆跡に、深く惹かれるものがあります。

  • きゅうりに八丁味噌
  • 山羊乳チーズとちくわ


四角小鉢にキュウリに八丁味噌、萩焼の四方皿に山羊乳チーズとちくわ


つや

この器を使う前には、必ず水に馴染ませることにしています。

すると、器の白い肌が濡れて、艶が増していくのが見えてきます。

見かけによらず重厚でありながら、同時に欠けやすい性質も持っているように感じられる器です。

そのため、洗う時はいつも両手でしっかりと持ち、慎重に扱っています。

  • 萩焼:
    山口県萩市を産地とする伝統的な陶磁器です。
    長年の使用により表情が変化する特性で知られています。

6. 虫の音

食後のお茶を飲みながら、食卓にかすかに残った揚げ物の香ばしさとキュウリの青い香りを楽しみます。

我が家全体にこもった暑さもおさまり、やっと秋らしさを感じる時期に入りました。

これからは空調を止めて窓を開け、虫の音を聞きながら眠れるのが楽しみです。


7. 今回のまとめ

  • 「くさくゆり すだれささがに しらしはだ」

  • [Koussa kouyouri soudaré sassagani chirachi hada]

  • Couche Sable, Cœur Lueur Riz, Souffle Daim Raie, Satin Sang Gant Nid, Cire Rat Chypre, Âme Daim.

  • 「くさくゆり すだれささがに にきひより」

  • [Koussa kouyouri soudaré sassagani niki hiyori]

  • Couche Sable, Cœur Lueur Riz, Souffle Daim Raie, Satin Sang Gant Nid, Nid Quille, Hymne Ion Ris.

  • Fenêtre, Parfum, Ciel, Vent. Annulaire, Cils, Horizon, Lueur. Ouïe, Peau née, Niki.


関連リンク


参考文献

参考文献については、下記リンクをご利用ください。
今回参考にした文献は、器 01、器 02、工 01、暦 01です。


音声データ(音):2025_024_ja01

音声データ(朗読):2025_024_ja02(作業中)

感謝:Microsoft Clipchamp: Brigitte, VOICEVOX: 四国めたん


記事 終わり

  • この記事を通じて、皆様の日々の食卓に小さな発見と懐かしさをお届けできればと思います。