記事 016:ぬか漬と水菜



記事要約

夏の蒸し暑さの中、年に一度の水なすのぬか漬に出会う。

手で優しく割き、味わう。

水菜のシャキシャキとした音、オリーブオイルの仲介、柑橘の香り。

すべてが時間をかけて馴染んでいく。

発酵という静かな変容、境界が溶ける世界。

栽培農家への敬意と、器との対話。

音として響き、読者の中で発酵し続ける食の詩。

カテゴリー

料理、夏


  • 日本の食文化の中で、私が暮らしの中で触れてきた一場面を綴ります。
    熾火を囲むような穏やかな気持ちで読んでいただければと思います。

1. 水なすのぬか漬(京都産)

  • 水なすぬか漬
  • 焼き鳥各種


有田焼の小鉢に水なすぬか漬、有田焼の丸皿に焼き鳥各種

我が家の庭で蝉の抜け殻があちこちで見かけられる暑さとなりました。

これから、またあの耳の奥にこだまする鳴き声にお付き合いしなければなりません。

少し気が重くなってしまいます。

この程度でめげてはいけないので、気分転換を兼ねて久しぶりに遠出の買い物に出かけました。

ありがたいことに、今年も無事に「年に一度の水なすのぬか漬」(関西地方特産の果肉が柔らかな茄子を米ぬかで発酵させた漬物)を購入することができました。

人の混雑が苦手なため、大きな百貨店に足を向けることはそうそうありません。

まるで運試しのような買い物になっています。

いつもの店員さんと、いつもの漬物屋さんが出来るだけ長く続くことを願っています。


2. 栽培農家の苦労

  • 水なすぬか漬
  • 野菜の天麩羅
  • 魚の煮物


織部焼の四方皿に水なすぬか漬、楕円皿に野菜の天麩羅、魚の煮物

水なすは包丁で切るよりも手で優しく割いた方が、断面に変化があって私の好みです。

そして、私はぬか付きの方を購入しています。

私は色々な店を試しましたが、最終的にこの店のぬかの香りに心惹かれました。

私は、そのまま食べたり、湯漬け(白湯をかけたご飯)にして食べています。

湯漬けは、シンプルながら素材の味わいを引き立てる食べ方と思っています。

私が毎回食べるたびに感心するのは、水なすの品質が安定していることです。

皮が程よく薄く、果肉がやわらかで、栽培農家の方々の丁寧な水や土の管理を感じます。

一度は、栽培している地域を訪ねてみたいと思っています。

  • ※ぬか漬けは、植物性乳酸菌の力を活かした伝統的な発酵食品の一つです。
    これは伝統的な手法で発酵されており、飲料のようなアルコール分を楽しむものではありません。

3. 水菜と生ハムのサラダ

  • 水なすのぬか漬(米ぬかで発酵させた京都産の漬物)
  • 水菜と生ハムのサラダ(オリーブオイル使用)
  • 練り物とこんにゃくの煮物
  • 糸こんにゃくときゅうりの和え物
  • ごま豆腐


有田焼の四角小鉢に水なすぬか漬、楕円皿に水菜と生ハムのサラダ、有田焼の四角小鉢に練り物とこんにゃくの煮物、有田焼の小鉢に糸こんにゃくときゅうりの和え物、ごま豆腐

水菜のシャキシャキとした食感と、ほのかな辛味が私好みです。

この頃は、オリーブオイルと黒胡椒をたっぷりとかけ、生ハムで巻いて食べるのが定番となりました。

オリーブオイルが仲介役となって、噛めば噛むほど肉と野菜の美味しさが深まります。

蒸し暑い時期なので、私は毎日食卓に出されても嬉しさの方が勝ります。

とはいえ、たまには柑橘類の搾り汁をかけて食べています。

オリーブオイルと違って、柑橘類の搾り汁は口の中がさっぱりとするので私たちは肉料理と合わせています。

夏場に大好きな水菜について調べてみると、意外なことに冬が旬の野菜だと知りました。

そして、一年を通して水菜が食べられるのは、露地栽培と施設栽培を組み合わせた栽培農家の方々の工夫のおかげだと知りました。

何事も、身近にありすぎると調べることもせずに、そういうものと思い込んでしまっていたようです。


4. 練り物とこんにゃくの煮物

このこんにゃくの煮物は、唐辛子が少し効いているのでご飯との相性がよいです。

「もう一杯食べたい」と思う気持ちを「明日食べましょう」と自分自身に言い聞かせるのが、いつも難しいです。

この料理については、別の記事でも少し触れています。

記事 004:コンニャクと出汁の対話

もご覧ください。


5. 柑橘類の絞り汁

「柚子(ゆず)」や「かぼす」などの柑橘類の搾り汁は、市販の瓶入り商品が扱いやすく便利です。

私は、気分転換にと思って蒸し暑い時期には、氷水や白湯に柑橘類の搾り汁を入れて飲んでいます。

また、果実から直接絞って温かいご飯にかけることもあります。

搾り汁よりこの方が、香りも立ちより美味しく感じます。

香りと程よい酸味のおかげで、お米の甘味とさっぱり感が引き立ちます。

意外とお箸が進むように感じます。

私の家で絞り汁を作る場合は、柑橘の表皮にしわが寄り、全体が程よく柔らかくなるまで追熟させてから絞ることにしています。

私達には、採れたてを絞ったものとは違って、酸味と甘みなどのバランスが整い、まろやかな味わいに感じられます。

追熟によって、柑橘本来の複雑な風味が引き出されるようです。

皆さんの食卓にも、この香りがそっと届きますように。

  • 搾りと絞り:
    私の場合、手作業の範疇を絞りとしています。
    例:タオルを絞る。

6. 有田焼の小鉢

水なすのぬか漬とこんにゃくの煮物を盛り付けている器は、有田焼の小鉢です。

深さも大きさも手頃で、日常使いに重宝しています。

また、こういった料理には唐津焼の小鉢とも相性が良いと思います。

なお、有田焼の小鉢については、

記事 010:陸の海藻オカヒジキ

にて詳しく書いています。


7. 今回のまとめ

  • 「ぬかしいな なれるかもされ うつせかい」

  • [Noukachiïna Naréloukamosaré Outsousékaï]

  • Nue, Cas, Hi, Inas, Na, Ray, Cam, Sâ, Ray, Ut, Ses, Quais, Hi.

  • Le murmure du sommeil des dents, L’appel du trou de la serrure, L’éveil du souffle.


関連リンク


参考文献

参考文献については、下記リンクをご利用ください。

今回参考にした文献は、工 01 です。


音声データ(音):2025_016_ja01

音声データ(朗読):2025_016_ja02(作業中)

  Microsoft Clipchamp: Brigitte, VOICEVOX: 四国めたん

記事 終わり

  • 皆様の食卓に小さな発見と懐かしさをお届けできればと思います。