記事 010:陸の海藻オカヒジキ

記事要約

梅雨明けの食卓に、オカヒジキという山形の伝統野菜が並ぶ。

最初は硬い繊維に戸惑い、妻の繊細な選別作業に自分の不器用さを思い知る。

しかし、よく咀嚼することで「陸の海藻」と呼ばれる独特の食感と風味に気づく。

きんぴらやふりかけにして余すところなく。

油揚げとの相性、有田焼の白い小鉢との取り合わせ。

食材との関係は時間をかけて変化していく。

いつか山形の地で、本場のオカヒジキを味わいたいと願いながら。

カテゴリー

料理、夏


  • 日本の食文化の中で、私が暮らしの中で触れてきた一場面を綴ります。
    熾火を囲むような穏やかな気持ちで読んでいただければと思います。

1. 恋しい煮物

やっと、長かった梅雨の時期を抜けそうです。

そうなると、何故か根菜類の煮物が恋しくなります。

今回は、水煮のたけのこ、人参、ごぼう、いんげんなど、彩り豊かな野菜を合わせました。

湿度の高いこの時期には、あっさりとした味付けが心地よく感じられます。

  • オカヒジキと油揚げの和え物
  • 根菜の煮物
  • 山芋と水菜のサラダ

有田焼の小鉢にオカヒジキと油揚げの和え物、織部焼の中鉢に根菜の煮物、水菜と山芋のサラダ

織部焼の中鉢に煮物を盛り付けると、器が「遠慮なくたっぷりとどうぞ」と語りかけてくるようです。

この中鉢は、四辺を迷いなく切り取ったような潔い(いさぎよい)造形と感じる方がいるかも知れません。

ですが、私にとっては、この潔い縁取りに心惹かれるお気に入りの器なのです。

さて、今回は和え物についてお話いたします。


2. 繊維が気になるオカヒジキ

  • オカヒジキのマヨネーズ和え
  • 生ハムと夏野菜

萩焼の四方皿にオカヒジキのマヨネーズ和え、ガラス皿に生ハムと夏野菜

和え物に使うオカヒジキは、多少手間でも、柔らかい部分を選り分けて調理し、私たちはその特有のシャキシャキ感を楽しんでいます。

最初の頃、選り分け作業は妻と一緒にしていました。

ところが、私の手つきの粗さに妻が見かねたのでしょう。

今では私がオカヒジキに触らせてもらえない状況です。

妻の作業をよく見てみると、手際よく選別していきます。

選り分けた山までもが綺麗です。

後の調理工程まで見据えているからこそ、自然とそうなるのでしょう。

その整然とした山を見るたび、私の不器用さにため息が出ます。

そして、特に硬くなった茎の部分は、他の根菜と合わせて醤油・みりん・唐辛子で味付けする家庭料理「きんぴら」にして、余さず食べています。

また、細かく刻んで少しきつめに炒め、「ご飯のふりかけ」としても重宝しています。

食べ慣れない頃は、私にとって付き合い方が難しい食材でした。

特に、硬い部分の繊維が気になってしまいました。

ですが、よく咀嚼することで気にならなくなりました。

そして、時間をかけてしっかりと噛むことで、食材の味わいが深まることを、この野菜が教えてくれたように思います。

  • オカヒジキと生ハム(オリーブオイルたっぷり)

楕円皿にオカヒジキと生ハム

今では店頭で見かけると「柔らかいのと硬いの、半分ずつですか?」と心の中で語りかけて、迷わず手に取るようになりました。

この変化こそが、私が感じる食材との出会いの面白さです。


3. 陸の海藻

  • オカヒジキの炒め物
  • サバの煮付け
  • ズッキーニの炒め物
  • 水なすのぬか漬け

四角鉢にオカヒジキの炒め物、サバの煮付け、楕円皿にズッキーニの炒め物、水なすのぬか漬け

初めてオカヒジキが食卓にあがった時、私は名前から想像できる食感に違和感を覚えました。

ヒジキのような歯ごたえが陸の野菜にもあるのだろうかと、不思議に思ったのです。

ですが、実際に口にしてみると、確かにシャキシャキとした心地よい歯ごたえと、どこか海藻を思わせる風味を感じました。

そして、油揚げと一緒によく噛むと、お互いの良さを引き出し合うような相性の良さを感じました。

この食材について調べてみると、山形県の伝統野菜であることを知りました。

その独特な食感から「陸の海藻」と呼ばれています。

このことから、海藻のような風味を感じたことに納得できました。

いつかは山形県の神社仏閣を巡る旅の折に、大切に受け継がれてきた地元産のオカヒジキを、その土地の空気とともに味わってみたいと願っています。

  • オカヒジキと練り物のサラダ
  • 鶏肉のいんげん豆炒めにプチトマト添え

鍋島焼の丸皿にオカヒジキと練り物のサラダ、楕円皿に鶏肉のいんげん豆炒めとプチトマト添え


4. 山芋と水菜のサラダ

今回のサラダには、梅雨の湿っぽさを吹き飛ばすような柑橘の香りと、程よい酸味のドレッシングをかけて食べました。

柚子やカボスの汁をそのままかけても美味しいです。

さらにドレッシングの配合が絶妙だったようで、山芋と水菜の味が存分に味わえました。

このサラダを盛っている小鉢は、全体的に薄く繊細に作られているため、割らないよう、いつも慎重に扱っています。

最初は5個購入しましたが、現在は大切に使っている2個が残るのみとなりました。

山芋に関しては、

記事 007:包丁と漆器と、手の記憶

で詳しくご紹介しています。

ぜひあわせてご覧ください。

※ ご注意: 山芋に含まれる成分(シュウ酸カルシウム)により、皮膚に触れると強いかゆみを感じる場合があります。

肌の敏感な方や、以前にかゆみを感じたことのある方は、直接肌に触れないよう注意し、手袋の使用を強くお勧めします。

免責事項:

本記事は個人の体験を記したものです。
刃物や食材の取り扱いには十分ご注意ください。

記載内容の実践による怪我や皮膚反応について、筆者は責任を負いかねます。


5. 有田焼の小鉢

オカヒジキの和え物を盛っている小鉢です。

程よい深さが、私のような素人が盛りつけても美味しそうに見せてくれます。

購入場所

私は、多くの観光客で賑わう「有田陶器まつり」の時期をあえて避けています。

気候が穏やかな時期を見計らって、年に一度「CHINA ON THE PARK(深川製磁株式会社)」を訪ねています。

詳しくは公式サイトをご覧ください。

リンク:https://www.fukagawa-seji.co.jp/

大きさ

両手で持つとちょうど手に収まる大きさで、持ちやすく、多めに盛ったとしても安心感があります。

手に取った感じ

表面がしっとりと落ち着いた質感で手になじみ、料理の温度も感じやすいです。

使う場面

普段の食事で使用しています。

絵柄が季節に限定されないので、一年を通して活躍しています。

私がこの絵柄を眺めていると、寒い日には「春よ来い」と、暑い日には「秋よ来い」と、穏やかな気候をつい願ってしまいます。

特に、青物の少ない冬場や根菜の煮物などが続くと、どうしても色合いが沈みがちな食卓になります。

そんなとき、この白い磁器が加わるだけで、食卓の印象を明るく整えてくれます。

持ちやすさ

洗う際も適度な厚みがあるおかげで、他の食器と一緒でも安心して扱えます。


6. 今回のまとめ

  • 「うみのさち しろきうつわに こころとめ」

  • [Uminosatʃi ʃiroki utsuwani kokorotome]

  • Ouïe, Mis, Nos, Sâ, Chi, Si, L'eau, Qui, Ut, Sou, Ah, Ni, Coque, Corps, Tôt, Mets.

  • Un souffle de pierre... le vent fixe l'éclat, et le parfum s'éveille.


関連リンク


参考文献

参考文献については、下記リンクをご利用ください。
今回参考にした文献は、器 01、器 02、工 01 です。


音声データ(音):2025_010_ja01


音声データ(朗読):2025_010_ja02(作業中)

Microsoft Clipchamp: Brigitte, VOICEVOX: 四国めたん

記事 終わり

  • 皆様の食卓に小さな発見と懐かしさをお届けできればと思います。