記事 020:鎌倉彫の草履

記事要約

下駄の買い替えで訪れた福岡の履物店で、鎌倉彫の草履に出会った。

彫刻刀の迷いない運び、絶妙な深さ、丁寧な塗り重ね——職人の手の跡に心を奪われる。

店では時間が緩やかに流れ、店主の手は休むことなく動き続ける。

穏やかな接客に触れ、日常を見つめ直す。

夜、静かにお茶をいただく時、あの時間を思い出すと、ざわめきが遠のく。

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手仕事


  • 日本の暮らしの中で、私が触れてきた一場面を綴ります。
    熾火を囲むような穏やかな気持ちで読んでいただければと思います。

1. 彫刻刀の彫り目


畳に置かれた鎌倉彫草履、彫刻をした深色台と金紫の鼻緒

今まで履いていた下駄の歯が、とうとう限界に来ました。

片べり防止を色々とほどこしましたが、私自身の歩き方がそもそもの問題のようです。

下駄の履き心地は、どうしても捨てがたいので妻に新調を相談しました。

すかさず色よい返事が返ってきました。

筥崎宮への参拝を終えた後、妻がかねてから気になっていた履物店を訪れることになりました。

妻からの「草履の台と鼻緒を自分で組み合わせて仕上げてくれる」という話に、私は心を奪われてしまいました。

そして、私達用と知り合いへのお土産として品を選ぶことにしました。

戸部田はきもの店:福岡県福岡市東区箱崎

詳しくは公式サイトをご覧ください。

リンク:https://www.instagram.com/getaya.110

※店舗情報は2010年時点のものです。

写真の草履は知り合いへのお土産として購入したものですが、私自身が最も心を動かされたのは、鎌倉彫の技術でした。

本で見知っていた鎌倉彫を、実際に草履の台に施された状態で目にしたのは初めてのことです。

何より驚いたのは、彫刻刀の運び方でした。

一刀一刀に迷いがなく、しかも勢いよく彫り込まれています。

深さも絶妙で、浅すぎず深すぎず、強調したい部分は微妙に深くなっています。

塗りも目立ちすぎる強調がなく、私には見飽きない仕上げに感じられます。

彫りの凹凸に合わせて色合いを変化させ、丁寧に塗り重ねられています。

職業柄というのでしょうか、私はつい刃物の扱い方に目が向いてしまいます。

切り口の美しい作品を見ると、人とは違った感想を抱くのが常なのです。

  • 鎌倉彫:
    木地に文様を彫り、漆を幾重にも塗り重ねる伝統工芸です。

2. 時がゆっくりと流れる場所で

私が店主とお客さんのやり取りを見ていると、まるで時計の針の動きが緩やかになったような感覚になります。

店主はお客さんと言葉を交わしながらも、手は休むことなく動き続けています。

お客さんの足の状態を注意深く観察しながら、絶妙な履き心地に仕上げていく様子は、圧巻としか言いようがありません。

店主はお客さんの要望を丁寧に聞き取り、すぐさま倉庫から希望に合った商品を見つけ出して見せています。

アドバイスも親切で、細部まで詳しく説明しています。

お客さんと店主が交わす言葉もとても穏やかです。

私は自分自身の日常生活を見つめ直す貴重な時間をいただいている気持ちになりました。

このような心のこもった接客には、単なる商売を超えた人と人との繋がりを大切にする、商いの本質が表れているように思います。

夜、静かにお茶をいただきながら、このような店主の心に触れた穏やかな時間を思い出すと、日常のざわめきが少し遠のきます。

※ こちらでご紹介するお店の様子は2010年時点での体験に基づいています。

15年が経過した現在では、営業状況や店舗情報が変わっている可能性があります。

訪問前には必ず最新の情報をご確認ください。


3. 今回のまとめ

  • 「ほりあゆみ こがまあなぐら みづどけい」

  • [Hori Ayumi Kogama Anagoura Midou Dokeï]

  • Oh, Lit, Ah, Yu, Mis, Coque, Mât, Ah, Na, Gura, Mi, Des, Doux, Quai.

  • La Poussière qui lave, La Bougie qui nage, L’Ampoule qui embaume.


関連リンク


参考文献

参考文献については、下記リンクをご利用ください。
今回参考にした文献は、工 01、暦 01 です。


音声データ(音):2025_020_ja01

音声データ(朗読):2025_020_ja02(作業中)

  Microsoft Clipchamp: Brigitte, VOICEVOX: 四国めたん

記事 終わり

  • 皆様の食卓に小さな発見と懐かしさをお届けできればと思います。