記事 012:小さな塊〜縁起物と初心者の一年〜

記事要約

家庭菜園で連作障害を避けるため、ちょろぎときくいもの栽培に初挑戦。

縁起物のちょろぎは小粒ばかりで苦労したが、赤梅酢漬けにすると美しい紅色に変化。

一方、きくいもは育てやすく豊作。

手間のかかる下拵えや、「少し足りないぐらいが良い」という気づきを通して、栽培の奥深さと食材への敬意を学んだ一年の記録。

カテゴリー

料理、春、冬


  • 日本の食文化の中で、私が暮らしの中で触れてきた一場面を綴ります。
    熾火を囲むような穏やかな気持ちで読んでいただければと思います。

1. 連作対策と珍しい根菜

我が家の家庭菜園は面積が狭く、私はどうしても同じ場所に同じ作物を植えてしまいます。

そのため、私は連作障害を避けるため、今まで栽培したことのない作物を探していました。

そんな時、園芸店でたまたま私の目に留まったのが「ちょろぎ」と「きくいも」の種芋でした。

私はちょうど両方とも購入できたので、今年この二種類に挑戦することにしました。


きくいもとちょろぎのパッケージと種芋


2. ちょろぎとお正月

ちょろぎは、日常ではほとんど見かけない食材です。

お正月の時期に、ほんの少し店頭で見かける程度でしょうか。

私は、自分で育てない限り口にする機会はほとんどないだろうと思い、今回栽培に挑戦することにしました。


3. お付き合いのきくいも

きくいもを選んだ理由は、実のところ「ちょろぎの隣に並んでいたから」です。

せっかくなら二種類の栽培に挑戦したいという気持ちもあり、その場の勢いで購入しました。


4. いよいよ植え付け

我が家の桜の葉も日光浴を楽しむ時期となりました。

植え付けにあたって、私は種芋に灰をまぶして消毒(腐敗防止)するかどうか迷いましたが、そのまま植えることにしました。

この判断が収穫にどう影響したのかは、正直なところ私にはわかりません。


5. 縁起物に期待を裏切られた

「ちょろぎ」はその形状から「長老喜」と当て字され、縁起の良い食材とされています。

とはいえ、私には赤い色の繭(まゆ)にしか見えません。

このことだけでも、私の感性の乏しさが露呈してしまいます。

縁起が良い食材なら、手間をかけなくても形の良いものが実るだろうと、どこかで思い込んでいました。

ところが、いざ土を掘り返してみると、思っていた以上に残念な結果となりました。


小粒ばかりが目立つちょろぎの様子

私は土の中から小さな塊を掘り起こしていきましたが、本当に小さなものばかりでした。

「収穫時期を間違えたか?」「種芋と大きさが全然違う」など、私はとても心配になりました。

かろうじて私が収穫できた大粒だけでは、赤梅酢漬けとして食卓に並べるにはとても寂しいものになります。

小粒でも形の良いものを選別していましたが、途中でとうとう根気が尽きてしまいました。


6. 初心者の味方、きくいも

きくいもの方は、植えておけば目に見えて成長しました。

気づけば私の背丈を軽く超えるほどに育っていて、私は驚きました。

嬉しいことに、掘り起こした時の収穫量を見て、「これなら来年も作ってみよう」と思いました。

初心者の私でも、ほとんど手をかけずに満足できるほどの収穫がありました。


7. ちょろぎの赤梅酢漬け作り

私は収穫したちょろぎを、生まれて初めて赤梅酢漬けにしてみました。

不器用な私にとって、想像以上に手間のかかる下拵えでした。

私は丁寧に洗って溝(みぞ)の汚れを落とし、薄い皮を取り除く作業を行いました。

なかなか根気のいるものでした。

塩でもんで一晩置いた後、赤梅酢に漬け込むと、数日で美しい紅色に変わりました。

この色の変化を見た時、「やっと本物のちょろぎ漬けができた」という実感が湧きました。

味は確かに美味しいのですが、この手間を思えば、市販品の価格にも納得がいきました。

それでも、ちょろぎの独特な食感は、忘れがたい噛み応えです。

シャキシャキとした歯ごたえの中に、ほのかな渋みと甘みが広がります。

そうなると、縁起物として毎年欠かさず食べたいという思いが募ります。

しかし、作業の大変さを知ってしまったので、来年の収穫次第では通信販売を利用することにしました。

  • 赤梅酢:
    梅を塩漬けした際に出る白梅酢に、赤紫蘇を漬け込んで色と風味を移した液体のこと。
    梅干し作りの過程で生まれる、香り豊かな副産物です。

8. きくいもの楽しみ方

きくいもは、天ぷらや素揚げ、煮込み料理、生のままサラダなど、様々な調理法で楽しむことができました。

癖がなくどんな料理にも馴染みやすい食材だと私は感じました。


9. 来年への挑戦

ちょろぎ

私は今年の経験を活かして、土作りからもう一度見直してみたいと思います。

小粒ばかりでなく、もう少し大きなものが収穫できるよう工夫してみるつもりです。

市販の漬物のような立派なものに近づけるには、まだまだ配慮が必要だと私は痛感しました。

きくいも

その育てやすさは大変ありがたいのですが、私は来年、収穫量を考えて少し控えめに植えることにしました。

毎日食べるのはもちろん、ご近所にお配りするにも、失礼にならないかと気を遣い、正直少し気疲れしてしまいます。

私は何事も、少し足りないぐらいが、ちょうど良いと思うようになりました。


10. 初心者の気づき

私は今回の栽培を通じて、縁起が良いとされる食材でも、必ずしも栽培が容易とは限らないことを学びました。

反対に、あまり手をかけなくても育つ作物もあるのだと知りました。

さらに、来年は今年の経験を活かして、より良い収穫を目指したいと思いました。

特にちょろぎについては、土作りや栽培方法をあらためて見直してみるつもりです。


11. 今回のまとめ

  • 「つめのつち こうばいいろに しろきまゆ」

  • [Tsoméno tsotsi kobaï ironi chiroki mayou]

  • Tsé, Mets, Nos, Tsé, Chi, Coup, Bail, Iris, Nos, Ni, Si, L'eau, Qui, Ma, Vue.

  • Pierre enrhumée, Le miel apaise, Souffle des cimes.


関連リンク


音声データ(音):2025_012_ja01(作業中)

音声データ(朗読):2025_012_ja02(作業中)

Microsoft Clipchamp: Brigitte, VOICEVOX: 四国めたん

記事 終わり

  • 皆様の食卓に小さな発見と懐かしさをお届けできればと思います。